お宝自慢  寺山 信行

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 鈴虫と暮らす夏30年
             
鈴虫を飼い始めてかれこれ30年近くになる。
鈴虫は6月初旬に卵から幼虫になり、数回の脱皮を繰り返して成虫になる。最盛期は8月初旬から9月下旬
で、この期間はまことにすがすがしい鳴き声を響かせてくれる。

飼育法は他の生き物よりいたって簡単でただ愛情だけである。
最盛期を過ぎると一匹のメスが約80~200の卵を産卵すると聞く。したがって翌年には数えられないほどの
幼虫が誕生する。
私はこの無数の幼虫を数えることがとりわけ得意である。せっかくの機会であるため、この場所をお借りして
その方法を広く皆さまに伝授しておきたい。
数え方は実に簡単である。鈴虫には6本の脚がある。まず飼育ケースの中にじっと目をおとし、精神を集中して
すべての幼虫の脚の数を数えあげる。あとはそれを6で割れば何匹いるかが簡単に計算できる。

夏の夜、鈴虫の鳴き声を聴けば暑さも忘れ、発砲酒がワンランク上のビールの味に変わるのが不思議でならない。
季節が去っていちばんうれしいのは、分家に出した知り合いから翌年に幼虫の誕生を聞くことである。そんな分家先の一人であるOB会のK君は、今や庭先で数百匹を飼育していると聞く。

現在、我が家には鈴虫のほか、猫、金魚、セキセイインコがいる。そして元気な女房にも恵まれている。
いちばんかわいいのが何かは説明するまでもないことである。